【プロジェクト概要】
安芸高田市吉田にある民家の立ち退き・家屋解体で生じた資材を、甲立にある拠点へと運び、再利用し、循環を通した場所づくりを受講生と学び・ともに実践します。古民家がどのような資材を使って組み立てられているかを学びながら、廃材のリサイクルや、エコロジカルな建材や施工方法を学習し、空間デザインや作品へと発展させることのできる知見や発想力のある創作者を育成します。
イエロー・リバー・カレッジは、2021年9月の設立当初より「100年後土に還る」というテーマを掲げ、版築工法を体験するワークショップや世界のドライトイレ調査など、ハード面ソフト面の両輪から芸術拠点設計を進めてきました。近年、日本各所で豪雨災害が発生しており、2021年安芸高田市においても多治比川氾濫が発生しました。本活動は、その水害と治水工事により、地域の一部が解体される予定であること、また、少子高齢化や人口流出による空き家問題に加え、市内唯一の美術館休館による芸術文化施設が消滅したこと、更に、戦争による不安的な世界情勢、ウッドショックや円安、人材不足などといった複合的な要因から、建材価格高騰といった様々な社会情勢問題も内包しています。そうした災害や建築をめぐる現代的事象を共有しながら、「循環されない資源や、空き家という現代社会の枠組みから外れた余剰分を、再び生活圏への循環サイクルへと呼び戻すこと」を目標に、循環型の空き家を使った拠点整備を実施します。
【講座内容】
分解と循環を考える(コンポスト実践ワークショップ)
①事前に学んだコンポストシステムや災害用簡易トイレなどの知識を応用し、プロトタイプ作成に取り組む。 ②講座期間中に発生する生ゴミや排泄物、天然の建築廃材など有機物を用い、それらを分解するシステムを、構造物の建造技術を学びながら制作する。 ③②の分解システムが、どのように社会に循環・応用できるかを考察し、環境理解を深める機会を創出する。 ④③以降は、定期的・長期的に分解具合を確認する。調査機関による微生物調査、人による匂いや不快感調査などを想定しており、分解・循環する材料に関する経験的な知識や、堆肥の健全な収穫方法など、人と自然のかかわりについて継続的に学ぶ。
【実施日程】2025年8月22日(金)
2025年10月21日(火)
【実施場所】安芸高田市甲田町、吉田町
地域資源と廃材を、エコロジカルな建築資材として応用する(土間たたきワークショップ 廃材救出編~施工編)
①地域資源を応用した土間作り計画を開始する。土に配合する素材を検討するため、建物廃材から得られる自然材料の再利用を模索する。また、場をどのように文化的に地域に開き、活用してゆけるかについて、ワークショップや展覧会、音楽会や舞台などの企画可能性を参加者と共に検討する。 ②場に即した土間用の土のサンプルを作成する。 ③材料を集めるため、周辺地域や既存建物から土間作りに応用する材料を採集する。生活に密接な、循環できる材料に関する洞察を深める。 ④左官屋と建築家指導の元、ワークショップ形式で土間作りに取り組む。エコロジカルな建材や施工方法を学び、環境保全に根差した文化芸術拠点作りに共同で取り組みながら、文化芸術の未来についてビジョンを持って考え、自発的に行動・挑戦できる機運を持った、カルチュラルでエデュケーショナルな豊かな土壌を醸成してゆく。
【実施日程】2025年7月11日(金)
2025年9月20日(土)
2025年10月22日(水)
【実施場所】安芸高田市甲田町、吉田町